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化学物質過敏症について  
     
  化学物質過敏症(Chemical Sensitivity/CS)は、「かなり大量の化学物質に接触した後、または微量の化学物質に長期に接触した後で、非常に微量な化学物質に再接触した場合に出てくる不愉快な症状」と一般的に定義されている疾患である。
以下文章は、2005年8月26日 日本弁護士連合会「化学物質過敏症に関する提言」および、2012年9月13日日本弁護士連合会「電磁波問題に関する意見書」を加筆、修正したものです。
   
1.化学物質過敏症概要  
   
 

この疾患の基本は、アレルギー疾患的な特徴と中毒疾患的な要素を兼ね備えた、基本的には後天的な疾患である。ある物質に「感作」され、二度目以降はごく少量の物質で反応するというアレルギー的な反応を示すが、通常知られている既知のアレルゲン反応に対する疾患とは全く異なる。症状は多臓器多発性であるが、主に(1)アレルギー様症状と、(2)神経系(主に自律神経系)症状であり、(3)精神心理、(4)消化、呼吸、循環、(5)免疫、内分泌、感覚、および運動系など、極めて多岐にわたる症状をもたらす。
その特徴は、
①症状は(何度もの化学物質)暴露により再現してくる
②慢性の経過を示す、
③低レベルの暴露(以前は、または通常では何らの症状を示さない量)で症状が出現してくる、
④症状は原因物質の除去で改善または軽快する、
⑤化学的に無関係な多種類の化学物質に反応を示す、
⑥症状は多種類の器官系にまたがる、という諸項目である。

(1) 微量の化学物質による症状誘発

ひとたび化学物質過敏症に罹患してしまうと、その後、同じ化学物質に極めて微量(ppm=100 万分の1 からppb=10 億分の1)に暴露しても症状が出るようになる。この2度目以降の同じ化学物質への接触による誘発反応がごく微量で起こってくることが化学物質過敏症特有の極めて問題の大きい特質であると言われている。これは行政が定める室内濃度指針値以下であることが多く、一般的には症状の出ないごく微量のレベルで症状が引き起こされてしまう。

(2) 反応する物質の多様性

ひとたび罹患すると、過敏性が拡大し、反応を示す物質の種類が増えることが多く、「多種類化学物質過敏症」(Multiple Chemical Sensitivity/MCS)と呼ばれる状態になる。反応する物質は、人により差異はあるものの、建材、農薬、合成洗剤、芳香剤、排気ガス、たばこ、線香、香水・香料・整髪料、ドライクリーニングされた衣類、印刷物やインク、合成洗剤、塩化ビニール・プラスチック・合成ゴム、食品添加物、塩素、香りの強い天然の木、カビなど、私たちの日常生活に深く浸透している極めて多くの種類に及ぶ。

(3) 幅広い症状、個人により大きく異なる症状

化学物質過敏症は、目や鼻、のどへの粘膜刺激症状から始まって、寒気・頭痛などの自律神経症状、手の震え・けいれんなどの神経症状、倦怠感・疲労感・筋肉痛・関節痛といったいわゆる「不定愁訴」、下痢・嘔吐など極めて広範囲にわたる症状を引き起こす。そして、同じ化学物質が原因でも、人によって現れる症状が違うことが特徴の一つである。

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2 患者の困難な生活状況
   
  (1) 日常生活における支障

現代の日常生活は極めて多種類の化学物質に囲まれている。化学物質過敏症患者は、化学物質に敏感に反応してしまうため、通常の社会的生活を送ることがおよそ不可能になる。
日常生活における支障は極めて多岐にわたり、患者は殺虫剤や防虫剤、合成洗剤が使えないのは当然のこと、塩素にも反応するため水道水がそのまま使えず(飲用、入浴には浄水器等で対応し、洗濯はできない)ガスの使用が困難なため、家事一般も困難となる。また、シャンプー・リンス・化粧品が使えない。冷暖房器具は排気口から有害物質が出るので使えない。洗剤での清掃や薬剤散布が行われているため電車やバスなどの交通機関の利用が困難となり(通院や療養場所を探すための移動が困難となる)、新聞や本は石油化学系のインクが使われているので読めない。インクに反応するので筆記用具は鉛筆しか使えない。皮膚も過敏になるため、衣類はオーガニックコットンだけ(それも新品は水に何度もさらして使う)など、使用できるものが非常に限定されてしまう。ストッキングも履けなくなり、靴の材質も限られたものしか履けなくなる。また、洗剤や野菜(多くは農薬が付着している)が売られているスーパーマーケット、図書館・本屋(インクが揮発している)、整髪料や香水・化粧品を付けたり、クリーニングから戻ってきた衣類を着ているような人がいる場所、分煙が徹底されていない場所には行くことが困難である。交通量の多い道には近づけないなど、行動範囲もきわめて狭くなってしまう。飲食店などは限定されたところしか利用できず、薬局や病院に入ることも困難な場合が少なくない。更に香りの残るタイプの合成洗剤や柔軟剤が増え、人が集まるところに赴くことは難しく、電車や飛行機の利用も困難である。(冠婚葬祭、クラス会、旅行など)
     
  さらに、自分でいくら配慮していても、近所で、殺虫剤、除草剤、合成洗剤を使ったり、道路工事や家のリフォームが行われたりすれば、患者は敏感に反応してしまう。外からの汚れた空気が入ってくるため、居室内の十分な換気ができないケースも多い。
化学物質に晒されれば症状が悪化することから本来できる限り化学物質を避けた生活をする必要がある。しかしながら、現代社会において化学物質の吸引、接触を完全に避けて生活することは現実的に困難であり、症状の寛解、増悪を繰り返し、治療効果が得られがたい。

(2) 社会的孤立・疎外

化学物質過敏症に関する医師や市民の一般的認知は未だ不十分であり、多くの人が反応しない超微量の化学物質に反応することが知識や経験がない健常者には理解されにくい。そのため、患者は、周囲から理解や協力を得られず、人間関係に軋轢が生じる場合が少なくない。
特に、同居している家族の一部だけが発症し、その他の家族の理解が得られない場合、患者は上記のような症状に苦しみながら同時に非常な孤立感・疎外感を味わい、心身共に深刻な状況に陥る。家族が別れて住むこととなってしまったり、離婚に至る例も少なくない。最悪の場合、患者が自殺したり、無理心中をしたケースも報告されている。
また、同様な理由から近隣とのトラブル・地域社会からの孤立などが発生する。それを避けるには、苦痛を我慢するか、自宅から一時的に避難するしか手だてがない。

(3) 経済的困窮

化学物質過敏症の患者は、暴露する化学物質の量を減らす必要があり、有機農産物や安全性の高い生活用品、空気清浄機等を購入する場合が多い。また、化学物質の解毒や治療のためにビタミン・ミネラル等のサプリメントを購入するが、これらはいずれも高価であり、家計を圧迫する。

化学物質過敏症患者は病院に存在する化学物質(病院の建物の新建材、床ワックス、消毒薬、塩化ビニル製チューブ等の可塑剤など)に反応して症状を誘発されることが多く、一般の医療機関で受診することにも大きなハードルがあり、自費での付き添いを必要とする場合もある。治療においても添加物過敏がひどくあり、一般的な薬剤が使えないため、健康保険が適用されず自由診療となり、患者の負担は大きい。化学物質がより少ない住宅を探し求めて何度も転居を繰り返し、多額の移転費用を支出したという患者も珍しくない。転地療養を要する患者も存在するが、その場合の費用が多額となることも論を待たない。(転地療養を考えても電磁波、農薬、様々な条件に合う転地を探すのは極めて困難な状況である。)
とりわけ、新築によるシックハウスが原因で発症した場合、住めなくなった家のローンの負担を負いながら、避難のために確保した住居の家賃を払い続け、さらに、シックハウスから放散された化学物質が付着して汚染され使用できなくなった衣類、生活用品等を買い換えるなど、極めて重い経済的負担がのしかかる。
より安全性が高い生活用品、食品の購入や空気清浄機の購入などは、医師の指示であれば確定申告時の医療控除の対象ともなりうるが、それ以上の経済的な救済策は全くない。
このような支出、負担が増大する一方で、前述のような日常生活上の支障から、就労が困難化するのが通常で、収入が激減あるいは途絶を余儀なくされることも珍しくない。そのため、生活保護受給となるケースもある。
   
3.電磁波過敏症
   
 

化学物質過敏症患者の約80%は、電磁波過敏症を併発すると言われている。

(1) 電磁波過敏症の定義

電磁波を浴びると鋭敏に反応し,頭痛,吐き気,めまい,動悸,痰が出る,不眠症,集中力低下,記憶低下,皮膚症状(発赤,蕁麻疹,チクチク感,灼熱感),手足のしびれ,内臓圧迫感,吐き気,胃痛,下腹部の鈍痛,消化不良,むくみ,耳鳴り,不定愁訴,疲労感,倦怠感,不快感,自律神経失調,筋肉や関節の痛み,不整脈,まぶしい,うつ状態,のどの痛み,咳や痰が出る,頭が重い等の様々な症状がみられる人がいる。
これらの症状を一般に「電磁(波)過敏症(ESないしEHS)」(以下「電磁波過敏症」という。)と呼んでいる。

(2) 日本における被害者の声

電磁波過敏症の救済と対策を求める取組を行っているVOC-電磁波対策研究会の「電磁波過敏症アンケート2009」 と題した報告書19によれば,電磁波過敏症ないしこれに近い症状を訴える人々にアンケートを採ったところ,電磁波過敏症が発症する原因になったと思う電磁波発生源について携帯電話やPHSの基地局・中継アンテナが全体の32%と最も多く,また同発生源は,全体の70.7%の人によって電磁波過敏症を引き起こす電磁波発生源として挙げられている。

こうした電磁波過敏症発症者からの声を踏まえ,上記報告書は,携帯電話・PHS基地局等の電磁波発生源の設置場所の制限・Web上での公開,設置計画の周辺住民への事前公開,携帯電話の使用ルールと使用場所の制限,公共交通機関等における電波を発生させる機器の使用禁止エリアの設置,電磁波過敏症に対応できる医療体制の整備・情報公開等が必要であるとしている。

(3) 電磁波過敏症に対する日本の対策

日本においては,電磁波過敏症に関し,行政として何らの対策も執られていない。
しかしながら,電磁波過敏症については,特定の素因を有する者だけに生じる症状ではなく,電磁波曝露の量が増えれば,誰にでも生じうる可能性があるとの指摘や,近年,電磁波過敏症の有病率が増加しているとの指摘もある。また,現に,電磁波過敏症を発症し,居住,就業等,日常生活のあらゆる場面で不自由を強いられている人々がいるのであり,これらの者が安心して生活していける環境を確保する必要もある。
そこで,我が国としても,電磁波過敏症に関する実態調査とこれを踏まえた発症のメカニズムと予防・治療・対策の発見に向けた研究に着手すべきである。

(4) 人権保障の観点からの対策の必要性 

国を挙げてユビキタス社会の実現を標榜する我が国では,携帯電話や無線技術を利用した各種機器が社会の隅々まで広く普及しており,日本全国,身の回りのどこにでも様々な周波数の電磁波が大量に飛び交っており,こうし
たなかで,前記(2)でもみたとおり,電磁波過敏症を発症し社会生活に支障が生じてしまった人々が出てきていることも事実である。

電磁波過敏症を発症すると,ICNIRPのガイドラインよりもはるかに弱い電磁波環境でも症状が現れるため厳重な電磁波強度の低減が必要になる。
その他の物理的刺激にも弱くなるので低周波音を含めた音,振動,光刺激にも配慮した生活が必要である。
電磁波に曝露されることで体調が悪くなるため,常に身の廻りにある電磁波の発生源を気にしながら生活している。なかには,特段の規制立法がない現状で次々と設置が進む携帯基地局から逃げるように,引越しを余儀なくされている人々もいる。
その結果,電磁波過敏症を抱えた人々は,就業が著しく制約されて経済的に追い込まれるばかりでなく,外に出ること自体が困難となる結果,一般的文化的な生活を送ることにすら支障を感じることとなっている。
また,電磁波過敏症については前述のとおり十分な調査研究が行われていないことから,電磁波過敏症発症者は医療機関に出向いても適切な治療を受けることができず,精神的な疾患として片付けられてしまっている場合も存在するとの指摘もある。

こうした現状を放置していることは,電磁波過敏症発症者の人として健康で文化的な生活を営む権利を否定することであり,憲法の定める生存権に照らしても許される事態ではない。ここにおいて,電磁波過敏症患者が安心して社会生活を続けられる環境を検討し整備していくことは,人権保障の観点からも要請されるところであると認識すべきである。

この点,スウェーデンでは,行政が電磁波過敏症を訴える人々の団体と定期的に情報交換をする機会を設け,またこうした団体の活動資金を援助している。
その影響もあってか,我が国と比べて,同国では,例えば,病院内に電磁波オフの部屋が設けられていたり,携帯電話での通話にハンズフリーを使用している人々を見かけることが珍しくないなど,電磁波の健康影響に対する国民の関心は高いように感じられる。また,同国の地方自治体にはさらに進んで,住宅の改修費用の一部を補助しているところもある。他方,スイスのように,携帯基地局の設置・運用において周辺住民の健康に配慮した厳しい規制を設け,また,これらに関する情報公開を通じて,無秩序な電磁波曝露から住民を保護しようとしている国もある。

さらに,前述の2011年に欧州評議会議員会議において出された電磁場の潜在的な危険性等に関する決議においても,加盟国に対し,電磁波に過敏な人々に特別な注意を払うことや無線ネットワークに覆われていない電磁場フリー(オフ)のエリアを設けること等,電磁波過敏症の人々を守るための特別な対策を講じることを勧告している。
いずれも,電磁波過敏症発症の機序ないし広く電磁波による健康影響がいまだ科学的に完全に解明されるに至っていない現段階においても,十分に採りうる施策であり,我が国において行政が電磁波過敏症との関係で何ができるのかを考える上で参考になるものと考えられる。

我が国も,その発症の機序が科学的に解明されない限り電磁波過敏症は存在しないとして扱うのではなく,現実に電磁波過敏症と称される症状を訴える患者が出てきている事実を直視し,その実態調査とこれを踏まえた発症の機序や予防・治療等の発見に向けた研究に着手すべきであり,あわせて,多くの電磁波過敏症患者が不安と感じている携帯基地局等の電磁波発生源についての設置・運用規制やこれらに関する情報公開等を通じて,電磁波過敏症発症者も安心して暮らせる環境整備をなすべく,対策の検討を始めるべきである。

 
 
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